📋 プレビュー版(画像4枚に絞った再構成版)

シフトの希望は、ガラス張りにしていい。みんなが見れば、譲り合いが起きる

シフト時短プロのアプリ画面
シフト時短プロ

「あの人ばっかり、希望が通ってる気がする」

職場で、こういう言葉が出る瞬間がある。

口に出されたわけじゃない。表情と、ため息と、空気の温度で、なんとなくわかる。

組んでいる人が悪いわけではない。希望を出した人が悪いわけでもない。

ただ、誰がいつ取れて、誰がいつ取れなかったかが、お互いに見えていないだけ。

見えないと、人は勝手に「自分ばかり損してる」と思う。

私もそう思っていた。

私はシフトを組む管理職ではない。でも、いちスタッフとして現場にいると、組む人も組まれる人も、それぞれにシフト調整で大変な思いをしているのがわかった。だからこそ、誰の目にも公平性が見える仕組みが作れないかなと思ったのだ。

数字で見えれば、譲り合いになるはずだ

実はこのシフト表のアプリは、献立アプリよりも前から、自分用にこっそり試作していた。数ヶ月、現場の感覚を入れながら少しずつ直してきて、ようやく「これは形になった」と思えるところまで来た。

先に世に出したのは献立アプリの方だったけれど、もともと「困りごと」が大きかったのは、こちらだった。

そして実は、前回の献立アプリの記事の後には、「やなこ」さんという方が、私の記事をきっかけに実際にアプリ作りを試してくださり、「まるでドラえもんが現れたような感じ」と、ご自身の記事で紹介してくださった。やなこさん、本当にありがとうございました。

私自身も含めて、いまの現場には、複数の職場を掛け持ちしている人や、子育てなど家庭の事情を抱えながら働いている人が増えている。働き方が多様化した分、希望や事情の組み合わせも複雑になり、毎月のシフトを組む時間も、ずいぶん長くなった。

「そんなに時間をかけずに、現場のスタッフとして実際に動いてほしい」という声もある。人が足りないんだもの。組む人にとっても、組まれる人にとっても、調整の時間はやっぱりもったいない。

だから、「こんな仕組み、あったらいいな」と、ずっと探していた。それが、このアプリを作り始めた本当の理由だった。

前回と同じで、最初に必要だったのは「何に困っているのか」を言葉にすることだった。

最初は、ただの「希望休が守られるシフト表」だった。

でも、作っていくうちにすぐ分かった。

足りないのは「自分の希望が叶ったかどうか」だけじゃなくて、「みんなの希望がどれくらい叶っているか、お互いに見えているかどうか」だったのだ。

そこで、画面の真ん中に、もう1個カードを足した。「公平性ダッシュボード」と名前を付けた。

5人分のカードを、画面に並べる設計にした。直近3か月で、誰が何件希望を出して、何件通ったかが、ひと目でわかるようにする。そして、取得が一番少ない人には、ピンクの「今月優先」バッジが、自動でつくようにした。

公平性ダッシュボード(1人ぶんの例)
たとえばEさんのカード。直近3か月で「希望4件 → 通1件」とひと目で分かる。取得が少ない人には自動で「今月優先」バッジ。同じカードが5人分並ぶ

これを見れば、きっとこう思うはずだ。

「あ、Eさんまだ少ないんだ。じゃあ今月、私は譲ろう」と。

誰かの犠牲の上に成り立つシフトではなく、数字が並ぶことで、自然な譲り合いが生まれたらいいなと思って作っている。

希望には、3段階の優先度を入れた

希望を入れる画面も、思い切って変えてみた。

これまでの「希望休(×)」は、冠婚葬祭や家族の節目のような、絶対に動かせないもの。それとは別に、「できれば休みたい日」を、月2回まで入れられるようにした。

優先度は3段階。

◎ どうしても(家族旅行・子の運動会)
○ できれば(通院・親の付き添い)
△ 余裕あれば(美容院・友人と会う)

入れた瞬間に、「今月の希望:◯/2件」「直近3か月の取得:◯/◯日」「有給残:◯日」が表示される。自分が今、どれくらい希望を使ったかが、入力中に見えるようにした。

希望入力モーダル
マスをタップして開くモーダル。◎○△の3段階+自分の使用状況がリアルタイムで見える

これなら「あ、もう2件入れてた。今月はここまでにしよう」と、自分で気づけるはずだ。

おまかせを押すと、優先度の通りに動く

おまかせボタンを押すと、1か月分のシフトが一気に組まれる。

ロジックは、人間がやっていた判断を、そのままアプリにやらせた。

◎ の希望は、絶対に休みにする。○ の希望は、できる限り休みにする。△ の希望は、人手に余裕があれば休みにする。そして、直近3か月で取得が少ない人を、優先的に休みに回す。

色で一目でわかるようにした。早番は黄色、遅番は青、昼番(短時間)はオレンジ、日勤は緑、休みはグレー。希望が入っていたマスには、右上に小さな ◎○△ の印が残るので、組まれた後でも「ここは希望だったのに出勤になった」が、ひと目で見つかる作りにしている。

シフト表のクロップ(Aさんの第1週)
たとえばAさんの第1週。5/2(土)にお願いしていた ◎ がちゃんと休みに反映され、印がそのまま残っている。色ですぐ早・遅・日・休が見分けられる

その下には職員ごとの月集計が並ぶ。早番が多すぎる人、遅番に偏っている人、希望が出ていたのに通らなかった人。数字で見えれば、月末に「次はここを調整しよう」と建設的な話し合いができるようになるはずだ。

月の集計(Aさん1行)
Aさんの集計を1行分。希望「2/2」(出した2件が全部通った)と注意「0」が、月末にひと目で分かる

翌月になると、優先が自動で動く

たとえば今月、私の希望が出勤に回ってしまったとする。

すると、来月の公平性ダッシュボードでは、私のカードに「今月優先」バッジが移動する。来月の私は、おまかせを押した時に、優先的に休みに回してもらえる。

「貸し借り」が、自動で記録される感覚に近い。

翌月の公平性ダッシュボード(1人ぶんの例)
翌月(6月)に切り替えた状態。先月はバッジが付いていなかったBさんに「今月優先」が移動している。誰かが声を上げなくても、優先がカードを渡って流れていく

誰かが声を上げなくても、数字が静かにバランスを取りに行ってくれる。そんな仕組みを目指した。

正直に言うと、最初は壊れていた

ここまでがアプリの完成形です。

でも、最初に動かした版では、「直近3か月の取得実績」がなぜか当月分しか出てこなかった。過去のデータを、いつのまにか上書きしていたらしい。

これも、AIに何度か「ここがおかしい」と伝えながら、ようやく直った。

作ってみて、思ったこと

希望が叶わなかった月があるのは、仕方がない。営業時間中ずっと3人体制を守るには、誰かが出勤する必要がある。

でも、「自分ばっかり損してる」という気持ちは、数字が並んでいないから生まれる。

直近3か月の取得実績が、お互い見える状態にあれば、「Aさんは2件、私は4件」と、自分から気づける。気づければ、譲れる。譲れれば、来月は譲ってもらえる。

シフト表は、組む人ひとりの責任にしないほうがいい。組まれ方が見えるようになると、組まれる側も、調整に参加できる。

70点でも、まず使ってみる。使いながら直していく。それくらいの軽さでいい。

前回の献立アプリのときと、結局、同じだった。「何に困っているのか」を言葉にできれば、AIが形にするのを手伝ってくれる。

あなたの現場では、職場への意欲や評価はどんな形で見えていますか

あなたが今、職場で「ちゃんと働きたい」「ちゃんと貢献したい」と思っているその気持ちは、誰に、どんな形で見えているだろうか。

そして、その意欲や評価は、毎月のシフトという形で、ちゃんと合っているだろうか。

頑張っている人ほど忙しい日を任され、希望が通らず、負担だけが偏っていく。そんなことがもし起きているとしたら、それは「意欲が見えていない」のと同じことだと思う。

シフトは、ただの予定表ではない。「あなたの状況をチームがどう見ているか」が、いちばん素直に映る場所だと、私は思っている。

私はこれまで、「なぜ私は管理職を断り続けるのか」と、「管理職を断り続けた私が、自分の責任範囲を決めた日」という記事を書いてきた。誤解されないように先に言うと、私は管理職という存在を否定しているわけではない。シフトを組んでくれる人がいなければ、そもそも現場は回らない。

ただ、「公平に決める責任」を、その人ひとりに全部背負わせるのは、組む側にも、組まれる側にも、結局しんどい。組む人だって、希望が通らなかった人の顔色を毎月気にしながら決めているのだ。

だから、組まれ方を全員に見えるようにする。これは管理職を要らなくする話ではない。管理職も含めて、お互いが仕事しやすい線をどこで引くか。それを一緒に考えるための、ひとつの道具なのだと思っている。

世の中には、すでに会社で導入されている立派なシフトシステムもあると思う。でも、それがシステム化されていても「本当に公平に処理されているか」がお互いに見えていなければ、結局は疑心暗鬼を生み、作る側にも作られる側にも心理的負担になってしまう。

毎月の希望が、組んでいる人ひとりにしか見えていないなら、そこに摩擦が生まれている可能性がある。

ガラス張りにしてみると、案外、人は譲り合う。

公平性が見える化されることで、シフト調整という心理的負担から双方が解放される。そして、「気持ちよく働いて、本来の職務を遂行する」というチームの本当の目的を、全員で共有できるようになるのではないかと思う。

これまで、個人的な勤務希望は管理者にだけそっと伝えて、あとは結果を待つだけだったかもしれない。でも、お互いの状況が見えるようになると、「ああ、私たちは一緒にこの職場で働いているんだな」という連帯感のようなものが生まれる気がしている。

あなたの意欲も、あなたの事情も、いまのシフトに、ちゃんと姿を表していますか。

もちろん、これはあくまで理想の話だ。「有給があるんだから、わざわざ希望休なんていらない」という声もあるし、以前私が働いていたマンモス病院のような規模の現場では、こういう小さな見える化は、あんまり叶わないんだろうなとも思う。

それでも、「職場を少しでも良くしたい」と思う人が一人でもいるのなら、こういう仕組みが間にあってもいいんじゃないかと、私は思う。

公平性が見えれば、空気が変わる。

ぜひ、あなたの現場でも作ってみてください

私が作ったものはあくまで自分用の試作ですが、「現場の何に困っているか」さえ言葉にできれば、今はAIが形にするのを手伝ってくれます。

特別なスキルがなくても、現場の「ちょっとした不満」を解決するツールは作れる時代になりました。

この記事が、皆さんの現場の空気を変えるヒントになれば嬉しいです。ぜひ皆さんも、自分たちの職場に合った仕組み作りを試してみてくださいね。

あえて試作版は置きません。ぜひ自分で触ってみて

今回は、あえて私が作った試作版へのリンクは載せませんでした。実際に手を動かして、AIと一緒に作っていく体験を絶対一度はやってみてほしいからです。

AIの進化は早すぎて、今の具体的なやり方やプロンプトは、すぐに違うものになってしまうでしょう。だからこそ、表面的な手順を教え合うことにはあまり意味がないと思っています。

でも、「現場の何に困っていて、どうやって解決策にたどり着くのか」という思考のプロセスは、ツールが変わってもずっと大切です。

そういった「考え方」の部分については、今後また別の機会にどこかで共有できたらいいなと考えています。

このような考え方に共感していただける方は、ぜひスキやフォローでつながっていけたら嬉しいです。

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